東電、新・総合特別事業計画について — 本格再生に進むべし
経済産業省は1月15日、東京電力の新しい総合特別事業計画(再建計画)を認定した。その概要は下の資料〔=新・総合特別事業計画 における取り組み〕の通りである。
これについて、通信社から回答字数制限付きで取材を受けたので、以下の旨で回答した。全然書き足りていないが、要するに、批判や非難だけでは何も進まないので、震災事故被災者と管内需要家の救済のため、そろそろ本格再生に向けて進むべしということ。(実際に記事化される場合には、編集されている可能性がある。)
↓
○今回の新しい総合特別事業計画は東電救済ではなく、震災による事故の被災者と東電管内の需要家の救済への道筋となるもの。最大の課題は、本計画実施に必要な資金と人材をいかに確保していくかだ。
○資金面について:巨額な公的資金が追加注入されるが、極力早く返済できるよう、国と東電は柏崎原発の再稼働を急ぎ、必要資金を捻出する必要がある。その際、原子力規制委員会の審査を経てからの再稼働ではなく、審査と同時並行の発電を容認すべき。政府が総力を挙げて地元自治体に説明と説得をしつつ、安倍総理が容認をコミットすればいい。
○人材面について:これ以上の人材流出は、原発や廃炉への円滑な運営に支障を来す。リストラはもうやめて、使命感と熱意のある既存職員の活用と新規採用に努めるべき。
○ 再生可能エネルギー普及のため、柏崎原発収益の一部を再生エネ賦課金に充てて、消費者負担を軽減するようにすべき。原発と再生エネの共存を図り、超長期的視野で再生エネ社会に移行させていくべき。
(2014年1月20日掲載)

関連記事
-
アゴラ研究所の運営するエネルギー問題のバーチャルシンクタンクGEPRはサイトを更新しました。
-
菅政権の下で「2030年CO2を46%減、2050年にCO2ゼロ」という「脱炭素」の目標が発表された。 しかしながら、日本は製造業の国である。製造業は石油、ガス、石炭などを燃やしてエネルギーを得なければ成り立たない。 特
-
太陽光発電と風力発電はいまや火力や原子力より安くなったという宣伝をよく聞くが、実際はそんなことはない。 複数の補助金や規制の存在が本当のコストを見えにくくしている。また火力発電によるバックアップや送電線増強のコストも、そ
-
アメリカのトランプ大統領が、COP(気候変動枠組条約締約国会議)のパリ協定から離脱すると発表した。これ自体は彼が選挙戦で言っていたことで、驚きはない。パリ協定には罰則もないので、わざわざ脱退する必要もなかったが、政治的ス
-
英国で2007年に発表されたスターン氏による「スターン・レビュー」と言う報告書は、地球温暖化による損害と温暖化対策としてのCO2削減の費用を比較した結果、損害が費用を上回るので、急進的な温暖化対策が必要だと訴えた。 当時
-
引き続き、2024年6月に米下院司法委員会が公表した気候カルテルに関する調査報告書についてお届けします。 (前回:「ESGに取り組まないと資金調達ができない」はフェイクだと米下院が暴露) 今回は少しだけ心温まるお話をご紹
-
以前、海氷について書いたが、今回は陸上の氷河について。 6000年前ごろは、現代よりもずっと氷河が後退して小さくなっていた(論文、紹介記事)。 氷河は山を侵食し堆積物を残すのでそれを調査した研究を紹介する。対象地点は下図
-
2021年8月に出たIPCCの報告の要約の図Figure TS.9を見ると、CO2濃度上昇し、過去200万年で最高の水準に達した、としている。こう言うと、まるで未曽有の危険領域に達したかのようだ。 けれども、本文をひっく
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間