今週のアップデート — 日本とフィンランド、政策の違い(2014年2月24日)
アゴラ研究所の運営するエネルギー問題のバーチャルシンクタンクGEPRはサイトを更新しました。
今週のアップデート
1)原子力規制委員会によるバックフィット規制の問題(上)(中)(下)
池田信夫アゴラ研究所所長による論考です。原子力規制委員会は昨年夏に新規制基準を作りました。しかし、過去に建設された原子炉を、新しい基準に適用し、その疑いがあるものは稼動させないという乱暴な行政活動をしています。これを法律、経緯など多角的に分析しています。
2)核のゴミ、市民はどのように処分方法を決めたのか — フィンランドの経験
フィンランド在住のジャーナリスト、靴家さちこさんに、使用済核燃料の最終処分政策についての国民の受け止め方をまとめていただきました。世界各国で、使用済核燃料の処分方法は遅々として進みません。同国は最終処分地を現在建設中で、2022年から運用する予定です。なぜそれが可能になったのかを紹介しています。
常葉大学の山本隆三教授の論考です。自民党衆議院議員の河野太郎氏は原発をめぐる意見の間違いを指摘しています。提携する国際環境経済研究所(IEEI)の論考です。議論は自由に行われるべきですが、正しい情報に基づかなければなりません。
今週のリンク
Wedge/Infinity(雑誌ウェッジのネット版)2月12日掲載。山本隆三氏による関連原稿。河野太郎氏、朝日新聞の主張について、原発をめぐる情報がゆがめて伝えられていることを指摘しています。
読売新聞、2月22日社説。原子力規制委員会が事後的に規制を設けて、それを適用する行為を「後出しじゃんけん」と批判しています。
事故対応中の福島第一原発で、汚染水漏れが起こりました。原因は不明だったものの、何者かがバルブを不自然な操作で開閉した可能性があることが分かりました。真相の究明が求められます。
毎日新聞2月22日記事。原子力規制委員会が、活断層調査として北陸電力志賀原発の調査を始めました。安全性を確保するか分からず、意味が疑われる調査が行われています。原発の稼動審査が、活断層騒ぎのために遅れています。一連の取り組みが妥当とは思えません。
アゴラ、池田信夫氏の2月22日掲載の論考。今回提示された議論について、穴掘りの無意味さ、法律解釈の誤りについて、手短かにまとめています。

関連記事
-
日本では福島原発事故、先進国では市民の敬遠によって、原発の新規設置は難しくなっています。また使用済み核燃料と、棄物の問題は現在の技術では解決されていません。しかし世界全体で見れば、エネルギー不足の解消のために、途上国を中心に原発の利用や新設が検討されています。
-
米国の「進歩的」団体が、バイデン政権と米国議会に対して、気候変動に中国と協力して対処するために、米国は敵対的な行動を控えるべきだ、と求める公開書簡を発表した。 これは、対中で強硬姿勢をとるべきか、それとも気候変動問題を優
-
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
-
福島第一原発の事故は我国だけでなく世界を震撼させた。電力会社に在籍したものとして、この事故の意味を重く受け止めている。
-
イタリアのトリノで4月28日~30日にG7気候・エネルギー・環境大臣会合が開催され、共同声明を採択した。 最近のG7会合は、実現可能性がない1.5℃目標を前提に現実から遊離した議論を展開する傾向が強いが、トリノの大臣会合
-
リスク情報伝達の視点から注目した事例がある。それ は「イタリアにおいて複数の地震学者が、地震に対する警告の失敗により有罪判決を受けた」との報道(2012年 10月)である。
-
以前、大雨の増加は観測されているが、人為的なものかどうかについては、IPCCは「確信度は低い」としていることを書いた。 なぜかというと、たかだか数十年ぐらいの観測データを見て増加傾向にあるからといって、それを人為的温暖化
-
ガソリン価格が1リットル170円を上回り、政府は価格をおさえるために石油元売りに補助金を出すことを決めました。他方で政府は、脱炭素化で化石燃料の消費を減らす方針です。これはいったいどうなってるんでしょうか。 レギュラーガ
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間