イーロン・マスクと対談したドイツ「極右」のエネルギー政策が正論
ドイツのための選択肢(AfD)の党首アリス・バイゼルががイーロン・マスクと対談した動画が話題になっている。オリジナルのXの動画は1200万回再生を超えている。
Here’s the full conversation from earlier today between Elon Musk and Alice Weidel, co-chairwoman of Germany’s AfD party.
Use the timestamps below to easily navigate the different topics.
1:09 General presentation of the AfD
2:14 Germany’s destructive energy policy
12:21… pic.twitter.com/dGEPn2Xw1T— ELON CLIPS (@ElonClipsX) January 9, 2025
YouTubeにもアップされている。
AfDは日本だけでなく、世界中のオールドメディアから「極右」呼ばわりされているが、アリス・バイゼルの発言を聞いてもごくマトモなことを言っているだけで、どこが極右なのかさっぱり分からない。
今回の対談では、ドイツのエネルギー政策と移民政策がAfDの2大課題だとした。
エネルギーについて言っていることは簡単で、化石燃料を止め、原子力を止めて、太陽・風力だけに頼るというドイツの「エネルギーヴェンデ(転換)」政策の批判である:
メルケルは、エネルギー政策の基盤を破壊しました。ドイツは原子力発電所を止めてしまった唯一の工業国です。メルケルは、太陽光と風力エネルギーを推進しました。しかし、それだけで工業国を運営することはできません。なぜなら、太陽が照らさず、風が吹かないときには、電気が得られないからです。私たちは、原子力発電を再び増強する必要があります。
メルケル政権や、近年では「信号機連立」政権が、我が国にグリーン政策を強制しました。
これは現実には機能しません。
1つの原子力発電所を風力発電で置き換えるだけで、シュトゥットガルトという主要都市の半分の面積が必要になります。こういった計算をするのに、それほど頭が良くある必要もありません。
しかし、ドイツのエネルギー政策は、正気とは思えない、愚かなことばかりです。
ウクライナ戦争により、ロシアからの天然ガス供給が途絶えました。この危機において、ドイツ政府が何を決めたかご存知ですか? なんと、よりによってその時に、最後の原子力発電所を停止し、さらに電力不足を深刻にしたのです。これは、非常に愚かであるか、自分の国を嫌っているかのどちらかとしか思えない所業です。
全く、おっしゃる通りだ。
おかしいのは、左翼的な「エネルギー転換」政策を推進してきたドイツ政府の方だ。
エネルギー以外の部分についての論評は私はいま控えるけれども、ことエネルギーに関しては、AfDは極右どころかごく普通のことを言っているだけだ。むしろメルケル以来、いま崩壊寸前の信号機連立に至るドイツ政府の方こそ、まるきり極左である。
■

関連記事
-
元静岡大学工学部化学バイオ工学科 松田 智 これまで3回にわたって、筆者は日本の水素政策を散々にこき下ろしてきたが、日本政府はまだ全然懲りていないようだ。 「水素に賭ける日本、エネルギー市場に革命も」と言う驚くべき記事が
-
5月13日に放送した言論アリーナでも話したように、日本では「原子力=軽水炉=福島」と短絡して、今度の事故で原子力はすべてだめになったと思われているが、技術的には軽水炉は本命ではなかった。1950年代から「トリウム原子炉の道?世界の現況と開発秘史」のテーマとするトリウム溶融塩炉が開発され、1965年には発電を行なった。理論的には溶融塩炉のほうが有利だったが、軽水炉に勝てなかった。
-
調整が難航していた第7次エネルギー計画(原案)がやっと出たが、ほとんど話題にならない。何も新味がないからだ。計画経済でもないのに電源構成を政府が計画しているのは日本だけだが、今回はその数字も表1のようにぼかされている。こ
-
東日本大震災から、3月11日で1年が経過しました。復興は次第に進んでいます。しかし原発事故が社会に悪影響を与え続けています。
-
さまざまな専門家が実名ブログで発言する、言論プラットフォーム『アゴラ』と、 ニコニコ生放送がコラボしました。その名も『ニコ生アゴラ』。第3弾は「被災地の復興を脅かす、『汚染がれき』と除染」がテーマです。
-
経営方針で脱炭素やカーボンニュートラルとSDGsを同時に掲げている企業が増えていますが、これらは相反します。 脱炭素=CO2排出量削減は気候変動「緩和策」と呼ばれます。他方、気候変動対策としてはもうひとつ「適応策」があり
-
こちらの記事で、日本政府が企業・自治体・国民を巻き込んだ「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」を展開しており、仮にこれがほとんどの企業に浸透した場合、企業が国民に執拗に「脱炭素」に向けた行動変容を促し、米国
-
3・11の福島原子力事故は、日本のみならず世界の原子力市場に多大なる影響を及ぼした。日本では、原子力安全のみならず原子力行政そのものへの信頼が失墜した。原子力に従事してきた専門家として、また政府の一員として、深く反省するとともに、被災者・避難を余儀なくされている方たちに深くお詫び申し上げたい。
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間