猛暑報道の陰で8月の関東・東北は涼しかった

今年7月、西日本は猛暑に見舞われた。メディアでは温暖化と結びつける報道が続いた。テレビ朝日は、7月中旬・下旬の西日本の平均気温が観測史上最高だったと伝え、「地球温暖化がなければ起こり得なかった」という研究機関の見解も紹介した。
ところで、8月の東日本は、結構涼しかった。もちろん、涼しさを伝える報道もあった。しかし、猛暑のニュースほどではない。
そこで、気象庁のデータで確認してみた。図1は、関東から北海道の6地点について、70年以上にわたる8月の平均気温を示したものだ。
水戸、前橋、山形、仙台では、今年8月の平均気温は、直前10年間の平均より1.3~1.5℃低かった。昨年と比べると2~3℃ほど低い。4地点とも、2017年以来の涼しい8月だった。
ただし、昔までさかのぼると、記録的な冷夏だったわけではない。4地点とも今年はほぼ平年並みで、長い観測記録の中では中ほどにある。「最近より涼しかった」というのが実態である。気象庁も、東日本の8月は平年並みだったとしている。
なお、この図にある長期的な温暖化傾向の理由には、いわゆる地球温暖化だけではなく、都市化、そして長期的な自然変動の影響がある。
今年の夏をあまりエンジョイできなかった私としては、どうも物足りなかった。来年はどうなるのだろうか。

図1 6地点の8月平均気温の長期推移
出典:気象庁「過去の気象データ検索」より筆者作成。2026年9月7日取得。詳しい比較条件は付録参照。
赤い点が2026年、青い破線が平年値。関東・東北の4地点では、近年の高温からほぼ平年並みに戻った。北海道の2地点は平年を上回った。
【付録】データと比較方法
関東・東北・北海道の32地点を調べ、各地域で2026年8月の気温が平年に比べて低く、かつ長期比較に適切な6地点を選んだ。
観測地点の移転による段差を避けるため、気象庁の観測地点情報と各気象台の沿革・移設告知を確認し、比較期間内に気温の観測場所(露場)の移転が確認された地点は除外した。庁舎だけの移転とは区別した。室蘭は1952年1月に移転しているため、同年8月以降を用いた。他の5地点は1951年以降である。
| 地点 | 2026年8月 平均気温 |
平年との差 | 直前10年 平均との差 |
低温順位 (対象年数) |
| 水戸 | 25.5℃ | −0.1℃ | −1.5℃ | 44位/76年 |
| 前橋 | 26.7℃※ | −0.1℃ | −1.4℃ | 50位/76年 |
| 山形 | 25.0℃ | 0.0℃ | −1.3℃ | 42位/76年 |
| 仙台 | 24.6℃ | +0.2℃ | −1.4℃ | 43位/76年 |
| 室蘭 | 21.6℃ | +1.0℃ | −0.2℃ | 54位/75年 |
| 札幌 | 23.5℃ | +1.2℃ | +0.1℃ | 61位/76年 |
出典:地点名のリンク先にある気象庁の月平均気温から計算
「平年」は1991~2020年、直前10年は2016~2025年。低温順位は2026年を含む76年間(室蘭は75年間)で、最も低温の年を1位とし、同値は同順位とした。水戸・山形・仙台・札幌には2026年と同じ気温の年がある。
採用した期間に8月の月平均気温の欠測はない。ただし、前橋の2026年8月は一部欠測を含む「準正常値」である。移転補正や都市化補正はしていない。なお公表履歴に移転の記録がないことは、周囲の環境や測器などの影響がないことを保証しない。
■
関連記事
-
おなじみ国連のグテーレス事務総長が「もはや地球温暖化(global warming)ではなく地球沸騰(global boiling)だとのたまっている。 “地球沸騰”の時代!?観測史上最高気温の7
-
7月21日、政府の基本政策分科会に次期エネルギー基本計画の素案が提示された。そこで示された2030年のエネルギーミックスでは、驚いたことに太陽光、風力などの再エネの比率が36~38%と、現行(19年実績)の18%からほぼ
-
COP30では事前に予想されたように日本がまた化石賞を受賞した。その理由は「石炭などを使う火力発電所由来の二酸化炭素を回収・貯留するCCSや石炭火力とアンモニアの混焼、ガス火力と水素の混焼は脱炭素化を装った化石燃料の延
-
米国ラムスセン社が実施したアンケート調査が面白い。 一言で結果を言えば、米国ではエリートはCO2の規制をしたがるが、庶民はそれに反発している、というものだ。 調査は①一般有権者(Voters)、②1%のエリート、③アイビ
-
岸田首相が「脱炭素製品の調達の義務付け」を年内に制度設計するよう指示した。義務付けの対象になるのは政府官公庁や、一般の企業と報道されている。 脱炭素製品の調達、「年内に制度設計」首相が検討指示 ここで言う脱炭素製品とは、
-
自然エネルギーの利用は進めるべきであり、そのための研究開発も当然重要である。しかし、国民に誤解を与えるような過度な期待は厳に慎むべきである。一つは設備容量の増大についての見通しである。現在、先進国では固定価格買取制度(FIT)と云う自然エネルギー推進法とも云える法律が制定され、民間の力を利用して自然エネルギーの設備増強を進めている。
-
新潟県知事選挙では、原発再稼動が最大の争点になっているが、原発の運転を許可する権限は知事にはない。こういう問題をNIMBY(Not In My Back Yard)と呼ぶ。公共的に必要な施設でも「うちの裏庭にはつくるな」
-
IPCC報告には下記の図1が出ていて、地球の平均気温について観測値(黒太線)とモデル計算値(カラーの細線。赤太線はその平均値)はだいたい過去について一致している、という印象を与える。 けれども、図の左側に書いてある縦軸は
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間
















