今週のアップデート - 原子力産業は世界では成長(2015年7月13日)
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンク「GEPR」(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
今週のアップデート
日本では福島第一原発事故の後で、原子力に批判的な意見が多い状況です。ところが、世界に目を転じると、巨大インフラ産業として、原子力産業のてこ入れが起こっています。日本では伝えられない産業としての原子力について、日本原子力産業協会の小林雅治さんに寄稿いただきました。
九州電力は川内原子力発電所1号機で8月中旬の再稼動を目指し、準備作業を進めています。新規制基準に適合し、再稼働をする原発は全国で初となるため、社会的な注目を集めています。GEPRの編集担当の石井孝明が現地を訪問しました。粛々と準備の進む現場の姿を伝えます。
独立性を高めて設置されている原子力規制委員会について、監査制度を入れるべきか、議論が進んでいます。これについて、どのように考えるべきか。環境法研究家の東田八幡さんの寄稿です。
今週のリンク
日本経済新聞7月11日記事。川内原発の再稼動が迫ります。しかし政治的な諸問題に向き合うために、政権の関与はかなり少なくなりそうという分析です。これで、世論の納得は大丈夫でしょうか。
日本経済新聞6月29日記事。次世代原子炉については、世界各国で研究が進んでいます。高速炉、高温ガス炉、小型炉など日本が10年前に先端を走っていた分野で、他国の「追いつき」が目立つようになりました。この記事は「高温ガス炉」の紹介です。
3)(ワールドけいざい)石油、中東で増産合戦 サウジとイラク、過去最高水準
朝日新聞7月12日記事。原油価格が昨年下半期の急落後、再び上昇傾向にあります。しかし、産油国が歳入を埋めるために、増産の気配を崩していません。米国の景気の回復が注目される上昇材料がある一方、こうした下げ要因もあり、綱引き状態になっています。
The National Interest。7月8日記事。クリントン政権時代に国務省で、米朝核合意(1994年)を担当したロバート・ガルーチ氏(現在はジョージタウン大学外交学科の特任教授)の米国の外交専門誌への寄稿。原題は「America Punts on Nuclear Security in Asia」。核兵器の拡散を防ぐために、中国、日本、韓国の再処理にブレーキをかけ、プルトニウムの蓄積をこれ以上増やさない政策を訴えています。2018年に日米原子力協定が改定されますが、米国の民主党系の政治家、専門家の一部には、日本の再処理に懐疑的な考えがあることを、私たちは記憶にとどめるべきでしょう。
日本原電は自社のHPに原子力規制委員会の委託した「有識者会議」と、その手続きに関する疑問点を示しています。事業者と規制委の関係の悪化は、両者にとって不幸です。円満な解決を望みたいです。
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東日本大震災で事故を起こした東京電力福島第一原子力発電所を5月24日に取材した。危機的な状況との印象が社会に広がったままだ。ところが今では現地は片付けられ放射線量も低下して、平日は6000人が粛々と安全に働く巨大な工事現場となっていた。「危機対応」という修羅場から、計画を立ててそれを実行する「平常作業」の場に移りつつある。そして放射性物質がさらに拡散する可能性は減っている。大きな危機は去ったのだ。
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村上さんが委員を務める「大阪府市エネルギー戦略会議」の提案で、関西電力が今年の夏の節電期間にこの取引を行います。これまでの電力供給では、余分に電力を作って供給の変動に備えていました。ところが福島の原発事故の影響で原発が動かせなくなり、供給が潤沢に行えなくなりました。
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再生可能エネルギーの先行きについて、さまざまな考えがあります。原子力と化石燃料から脱却する手段との期待が一部にある一方で、そのコスト高と発電の不安定性から基幹電源にはまだならないという考えが、世界のエネルギーの専門家の一般的な考えです。
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