グレートバリアリーフのサンゴ被覆は過去最高を更新

写真 サンゴ礁 (AIMS)
オーストラリアの東にあるグレートバリアリーフのサンゴ礁は絶好調だ。そのサンゴ被覆度(=調査地域の海底面積におけるサンゴで覆われた部分の割合)は過去最高記録を3年連続で更新した(図)。ジャーナリストのジョー・ノヴァが紹介している。

図 グレートバリアリーフにおけるサンゴ被覆度
環境運動家は、グレートバリアリーフは、「CO2の増加による海洋酸性化や、地球温暖化による水温上昇、あるいは農業などによる水質汚染などで、危機にさらされている」としてきた。
だが1985年以来、人類が累積で排出したCO2の60%、量にすると1兆トン以上が排出されてきたにも関わらず、今日のグレートバリアリーフはかつてなく健全であることが判明した訳だ。
図は、データがAIMSのもので、図は研究者であるピーター・リッドが作成したもの、となっている。これにはカラクリがある。
データがオーストラリア海洋科学研究所(AIMS)によるものだ、というのは、サンゴ礁の上を、何千キロも船でダイバーを引きずって、目視調査したり映像撮影したりして集めたデータである、ということである。ところが、AIMSはそのデータを集計しない。そこで、そのデータをピーター・リッドがまとめて作図した。
じつはサンゴ礁の状態が悪かった2012年ごろまでは、AIMSは喜んでこのようなグレートバリアリーフ全体のデータを示して、サンゴ礁が衰退している、としきりに嘆いていた。だがその後トレンドが逆転すると、AIMSはこのような図を出さなくなった。
気候危機論者お決まりの方法だ。気候危機説に都合の悪いデータを隠すのだ。実際のところ、気候危機説を支持する観測データなど何処にも有りはしない。
ピーター・リッドは、それはフェアではないとして、このような図を毎年作って発表している。そのせいで、目の敵にされ、職も追われてしまった。
このようにグレートバリアリーフは良好な状態にある。それにもかかわらず、ジョー・ノヴァによると、ユネスコは世界遺産委員会に勧告して、グレートバリアリーフを「危険な状態」にしないためとして、漁業や農業活動を豪州政府に規制させるらしい。
彼女は問う。
この国を動かしているのは誰なのだろう?選挙で選ばれた政府なのか、それとも第三世界の独裁者に仕える外国の委員会なのだろうか?・・・サンゴ被覆度が記録的な低水準に落ちてから10年余りが経ったが、私たちの調査によると、国民の半数が、サンゴ礁が回復したことを認識していなかった。珊瑚が記録的な高水準にあることを知っていたのはわずか3%だった。緑の党を支持する有権者の半数近くは、サンゴの被覆度が記録的な低水準にあると思い込んでいた。
■
関連記事
-
「気候変動についての発信を目指す」気象予報士ら44人が共同声明との記事が出た。 マスコミ報道では、しばしば「物事の単純化」が行われる。この記事自体が「地球温暖化による異常気象が深刻化する中」との前振りで始まっており、正確
-
経済産業省において10月15日、10月28日、と立て続けに再生可能エネルギー主力電源化制度改革小委員会(以下「再エネ主力電源小委」)が開催され、ポストFITの制度のあり方について議論がなされた。今回はそのうち10月15日
-
アメリカのトランプ大統領が、COP(気候変動枠組条約締約国会議)のパリ協定から離脱すると発表した。これ自体は彼が選挙戦で言っていたことで、驚きはない。パリ協定には罰則もないので、わざわざ脱退する必要もなかったが、政治的ス
-
国土交通省の資料「河川砂防技術基準 調査編」を見ていたら印象的な図があった。東京の毎年の1日の降水量の最大値だ。 ダントツに多いのが1958年。狩野川台風によるものだ。気象庁ホームページを見ると372ミリとなっている。図
-
原発事故に直面して2年が経過した福島の復興をめぐって、何ができるのか。それを考える前提として、まず現状を知る事ではないでしょうか。
-
国連総会の一般討論演説において、中国の習近平国家主席は「2060 年迄にCO2 排出量をゼロ」ように努める、と述べた。これは孤立気味であった国際社会へのアピールであるのみならず、日米欧を分断し、弱体化させるという地政学的
-
2050年にCO2ゼロという昨年末の所信表明演説での宣言に続いて、この4月の米国主催の気候サミットで、菅首相は「日本は2030年までにCO2を46%削減する」ことを目指す、と宣言した。 これでEU、米国・カナダ、日本とい
-
バイデン政権で気候変動特使になったジョン・ケリーが米国CBSのインタビューに答えて、先週全米を襲った寒波も地球温暖化のせいだ、と言った。「そんなバカな」という訳で、共和党系ウェブサイトであるブライトバートでバズっている。
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間
















