今週のアップデート — シンポジウム「エネルギー政策・新政権への提言」報告(2012年12月10日)
今週のアップデート
アゴラ・GEPRは、NHNJapanの運営する言論サイトBLOGOS 、またニコニコ生放送を運営するドワンゴ社と協力してシンポジウム「エネルギー政策・新政権への提言」を11月26、27日の2日に渡って行いました。
1)「原発はいつ動くのか ― シンポジウム「エネルギー政策・新政権への提言」報告・その1」。第一部のテーマは「原発はいつ動くのか」でした。「原発再稼動の条件」「原発ゼロは可能か」「16万人の避難者の現状」「新政権への提言」などエネルギーをめぐる短期的なテーマについて、識者が語り合いました。(先週からの連続掲載)
2)「原発ゼロは可能なのか ― シンポジウム「エネルギー政策・新政権への提言」報告・その2」
第二部では長期的に原発ゼロは可能なのかというテーマを考えました。放射性廃棄物処理、核燃料サイクルをどうするのか、民主党の「原発ゼロ政策」は実現可能なのかを取り上げています。
3)「原発事故の現在の状況—避難、健康、ICRP」。シンポジウムのプレゼンで、大きな反響を呼んだ京都女子大の水野義之教授の資料を公開します。福島の現状と健康避難の状況、ICRP基準について紹介しています。
今週のリンク
1)「今後の高レベル放射性廃棄物の地層処分に係る取組について(見解案)」。原子力委員会は11月27日、この文章を公開しました。
今後の放射性廃棄物の処分方法について、これまでの核燃料サイクルによる廃棄物の減少に加えて、地層処分(地中の中の空間に埋める)、地上への暫定保管も含めた多様な選択肢を検討することを政府に提言するものです。同委員会は意見の募集も行いました。(ホームページ)
2)「高レベル放射性廃棄物処分に向けての基本的な考え方について」。原子力委員会が1998年にまとめた処分方法の案です。これまで国の政策はこの文章の示した方向、地層処分の方向で進んできました。しかし、それを受け入れる自治体はこれまでありませんでした。
3)「原子力委:高レベル放射性廃棄物処分、暫定保管へ転換提言」 。上記の原子力委員会の提言についての、毎日新聞の11月28日の解説記事です。
4)「原子力政策の課題」。資源エネルギー庁が経産大臣の諮問機関である総合資源エネルギー調査会に提出した資料。原子力の現状がまとまっています。
5)「衆院選青森2区 原子力施設集中立地 「継続」アピール続々」河北新報12月9日記事。「衆院選:揺れる原発城下町 茨城・東海村」毎日新聞12月7日記事。原子力施設の並ぶ青森県下北地域、茨城県東海村での選挙での現実を伝えています。立地場所の人々にとって原子力施設は雇用の場であることを忘れてはいけません。
6)「一酸化窒素で放射線に“免疫” 福井大准教授が学会賞」。福井新聞12月1日記事。放射線を浴びた人の免疫構造について、福井大の研究者が、現象の鍵が一酸化窒素にあることを突き止め、大量被ばく時の救急処置薬への応用を研究しています。ICRP(国際放射線防護委員会)の研究報告でも取り上げられました。(英文リリース)
7)「米、LNG輸出の拡大検討へ 日本向け解禁可能性も—「経済利益にかなう」との報告書」。日本経済新聞12月6日記事。シェールガスの増産でガス価格低下に湧く米国は対外的にエネルギーを原則輸出していません。それをめぐる米国内の意見です。

関連記事
-
IPCCの気候モデルによるシミュレーションは、観測値と比較して温暖化を過大評価していることは以前にも何回か述べてきた。過大評価の程度は、地域・期間・高度などによって異なるが、米国の元NOAAのロイ・スペンサーが、特に酷い
-
東京都が2023年春に条例で定めた新築住宅への太陽光発電パネルの義務付けの施行予定は来年2025年の4月となり、あと1年に迫ってきた。 この条例について、筆者は問題点を条例可決以前から筆者が指摘し、都に請願を提出してきた
-
なぜか今ごろ「東電がメルトダウンを隠蔽した」とか「民主党政権が隠蔽させた」とかいう話が出ているが、この手の話は根本的な誤解にもとづいている。
-
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクであるGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
-
欧米エネルギー政策の大転換 ウクライナでの戦争は、自国の化石燃料産業を潰してきた先進国が招いたものだ。ロシアのガスへのEUの依存度があまりにも高くなったため、プーチンは「EUは本気で経済制裁は出来ない」と読んで戦端を開い
-
この原稿はロジャー・ピールケ・ジュニア記事の許可を得た筆者による邦訳です。 欧州の天然ガスを全て代替するには、どれだけの原子力が必要なのか。計算すると、規模は大きいけれども、実行は可能だと分かる。 図は、原子力発電と天然
-
「もんじゅ」の運営主体である日本原子力研究開発機構(原子力機構)が、「度重なる保安規定違反」がもとで原子力規制委員会(規制委)から「(もんじゅを)運転する基本的能力を有しているとは認めがたい」(昨年11月4日の田中委員長発言)と断罪され、退場を迫られた。
-
猪瀬直樹氏が政府の「グリーン成長戦略」にコメントしている。これは彼が『昭和16年夏の敗戦』で書いたのと同じ「日本人の意思決定の無意識の自己欺瞞」だという。 「原発なしでカーボンゼロは不可能だ」という彼の論旨は私も指摘した
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間