誰が大統領でも反ESGの米国共和党

LifestyleVisuals/iStock
米国保守系シンクタンクのハートランド研究所が「2024年大統領選の反ESGスコアカード」というレポートを発表した。大統領候補に名乗りを上げている政治家について、反ESG活動の度合いに応じてスコアを付けるというもの。
これを見ると共和党は誰が大統領になっても反ESGになることは決定的なようだ。
なぜなら、現在、大統領候補として名乗りを上げているうち、人気の上位5人を見ると、みな明確に反ESGの立場だからだ。
情報サイト538.comによれば、10月21日現在、共和党での大統領候補での人気上位5人とは、トランプ(56.8%)、デサンティス(13.7%)、ヘイリー(7.2%)、ラマスワミ(5.6%)、ペンス(3.7%)である。
以下、ハートランド研究所レポートから、各候補の発言を見てみよう。
1. ドナルド・トランプ(第45代アメリカ合衆国大統領)
このような業績不振の「覚醒した(woke)」金融詐欺は急進左派のゴミである。。それは本来は決して投資対象にはならないものだ。。ESGはあなたの退職金を急進左派の狂人に流すように設計されている。。ESGからアメリカ人を守らなければならない。

ドナルド・トランプ
Wikipediaより
2. ロン・デサンティス(フロリダ州知事)
ESGは産業・金融の機関を通じて、経済の力を用い、特定のイデオロギーを押し付けるエリートたちの試みである。
デサンティスは、フロリダ州における包括的な反ESG法案に署名した。また大統領選挙キャンペーンウェブサイトでは、ESGとの戦いを 5つの優先事項のうちの1つと位置付けている。

ロン・デサンティス
公式HPより
3. ビベック・ラマスワミ
ラマスワミは、ESGとグレート・リセットとの闘いを、2024年大統領選挙キャンペーンの最も重要な側面のひとつに掲げている。彼は、非ESG投資商品の提供を専門とする自身の資産運用会社、ストライブ・アセット・マネジメントを立ち上げたほどだ。ラマスワミはまた、ESGの問題点を論じた複数の著書も執筆している。
「覚醒した資本主義(Woke, Inc.)」の中で、ラマスワミはこう書いている。
ESG問題を非常に複雑にしているのは、かつて資本主義を敵視していた進歩主義者たちが今、法制定ではできなかったことを「市場」を通じて達成するためのツールとしてESGを利用していることだ。

ビベック・ラマスワミ
Wikipediaより
4. マイク・ペンス(前副大統領)
ESGは、選挙で選ばれたわけでもない官僚たちに、左翼的な価値観への固執に基づいて企業を格付けする権限を与えている。
バイデン大統領と政府規制当局は 、気分次第で制定される新しいESG規制によって、左翼過激派がアメリカのエネルギー生産を内部から破壊することを可能にしている。

マイク・ペンス
Wikipediaより
5. ニッキー・ヘイリー(前サウスカロライナ州知事)
ESGの正体を、企業社会主義と呼ぼう。必要なのは資本主義であって、企業が左翼に屈することではない。そうすれば、誰もが損をする。
パリ協定から再び離脱し、バイデン政権による石油とガスの生産制限を解除し、再生可能エネルギーへの補助金を廃止し、発電所と自動車の排気ガスに関する規制案を取り消す 。

ニッキー・ヘイリー
Wikipediaより
■
執筆時点において、ロバート・ケネディ・ジュニアが独立候補として出馬を表明したことで、民主党の票が割れることが予想され、大統領選は共和党が圧倒的に有利になっている。
まだ投票まで1年あるので結果は予断できないが、共和党の大統領ならば誰であっても反ESG、ということに間違いはなさそうだ。
ESGは米国の半分である共和党を完全に敵に回してしまっている。
さて日本はどうする?
■

関連記事
-
次世代の原子炉をめぐって、政府の方針がゆれている。日経新聞によるとフランス政府は日本と共同開発する予定だった高速炉ASTRIDの計画を凍結する方針を決めたが、きのう経産省は高速炉を「21世紀半ばに実用化する」という方針を
-
昨年12月にドバイで開催されたCOP28であるが、筆者も産業界のミッションの一員として現地に入り、国際交渉の様子をフォローしながら、会場内で行われた多くのイベントに出席・登壇しつつ、様々な国の産業界の方々と意見交換する機
-
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクであるGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)は、サイトを更新しました。
-
昨年9月1日に北海道電力と東北電力の電力料金値上げが実施された。これで、12年からの一連の電力値上げ申請に基づく料金値上げが全て出そろったことになる。下表にまとめて示すが、認可された値上げ率は各電力会社の原発比率等の差により、家庭等が対象の規制部門で6・23%から9・75%の範囲に、また、工場やオフィスビルを対象とする自由化部門で11・0%から17・26%である。
-
原子力発電に関する議論が続いています。読者の皆さまが、原子力問題を考えるための材料を紹介します。
-
チリの暴動が大変な事態になっている。首都サンチアゴの地下鉄運賃引き上げをきっかけにした反政府デモが全国に波及し、デモ隊と警官との衝突等により、24日までに死者が18人に上っている。燃えるバスや催涙ガス、警官に投石するデモ
-
本原稿は2012年5月の日本原子力産業協会の年次総会でバーバラ・ジャッジ氏が行った基調講演要旨の日本語訳である。ジャッジ氏、ならびに同協会の御厚意でGEPRに掲載する。
-
昨年10月のアゴラ記事で、2024年6月11日に米下院司法委員会が公表した気候カルテルに関する調査報告書のサマリーを紹介しました。 米下院司法委が大手金融機関と左翼活動家の気候カルテルを暴く サマリーでは具体性がなくES
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間