気候カルテル訴訟でバンガードが巨額和解金を支払う

artisteer/iStock
筆者は2025年8月に以下の記事を書いていました。
ついに、気候カルテルに対する大規模訴訟が動き出すようです。
(中略)
いまだにESG投資が世界の潮流などと言っている日本の産業界こそ注視すべき動向なのですが、相変わらず日本語メディアではまったく報じられていません。
2024年11月に米国11州の司法長官がブラックロック、ステートストリート、バンガードに対して気候カルテル訴訟を起こし、2025年8月に3社の棄却申し立てが裁判所によって却下され訴訟が本格化していました。
あれから半年が経過し、バンガードが巨額の和解金支払いに合意したようです。
ケン・パクストン司法長官は、バンガードとの間で画期的かつ前例のない和解を成立させ、資産運用会社ブラックロック、ステートストリート、バンガードに対する複数州による訴訟の一部を解決した。和解の一環として、バンガードは業界で最も強力な受動的運用方針を約束し、投資家に議決権行使の権限を付与することに合意した。これは業界初の試みである。この画期的な和解は、ESG主導の市場操作に対する史上最も重要な執行措置であり、競争力のある低コストの石炭産業を確保するとともに、大規模機関投資家の行動規範を根本的にリセットする。
パクストン司法長官の訴訟は、「グリーンエネルギー」を装って石炭価格を吊り上げようとしたブラックロック主導のカルテルに対抗し、全米における石炭コスト(ひいては電力価格)の引き下げをめざすものである。ブラックロックの行為は同社及び共謀者らに巨額の利益をもたらし、全米の消費者に電気料金の値上げを強いた。さらにアメリカ国民を犠牲にして利益を追求するため、ブラックロックは非ESGファンドへの投資を選択した数千人の投資家をも欺いた。
「バンガードが投資家を保護する選択をし、委任状投票の選択肢を通じて投資家に力を与える点で業界のリーダーとなったことを喜ばしく思います。これは機関投資家にとって新たな基準を確立するものであり、全ての企業が従うべきものです」とパクストン司法長官は述べた。
「バンガードはこの件を解決するために適切な措置を講じましたが、ブラックロックとステートストリートは州法を無視し続け、アメリカのエネルギー産業を損なう反競争的な策略に関与し、彼らのサービスを利用して投資する人々を弱体化させています。石炭は、増大するアメリカのエネルギー需要を支えるために不可欠な産業です。私は、アメリカのエネルギーを危険にさらす『目覚めた』アジェンダを推進しようとする投資大手によるあらゆる試みを根絶やしにし、破壊し続けます」
パクストン司法長官が交渉した初の和解案のもと、バンガードは顧客の収益性よりもESG目標を押し付けないことを約束した。例えば、バンガードは株式を使って(a)ポートフォリオ企業の事業戦略を指示したり、(b)ポートフォリオ企業が何らかの形で行動(または行動しない)ことに同意しなければ持株から撤退すると脅したり、(c)取締役や株主提案をポートフォリオ企業に指名したりしない。バンガードはまた、州に2,950万ドルを支払うことにも合意した。
この和解金、日本円だと45億円超になります。これほどの大規模訴訟で和解した資産運用会社が融資先の企業に対して強制していたのがESG目標、脱炭素目標だったわけです。
しかし、ESG強要をやめるバンガードはまだマシです。訴訟を継続するブラックロックとステートストリートがどのような結末を迎えるか、引き続き注視します。
なお、上記はテキサス州司法長官ウェブサイト上でプレスリリースとして掲載されているのですが、相変わらず日本のメディアはまったく報じてくれませんね。やれやれ。
■
関連記事
-
トランプ大統領は就任初日に発表した大統領令「Unleashing American Energy – The White House」において、環境保護庁(EPA)に対し、2009年のEndangerment Findi
-
2026年総選挙。投開票日を2月8日に控え、高市人気はとどまるところを知らない。 私は節分の空の下、期日前投票を済ませ、複雑な思いで各党の原子力政策を見つめ直した。変わりゆく政治の潮流を、自身の原風景とともに解き明かした
-
IPCCの報告がこの8月に出た。これは第1部会報告と呼ばれるもので、地球温暖化の科学的知見についてまとめたものだ。何度かに分けて、気になった論点をまとめてゆこう。 地球温暖化の予測には気候モデルが使われる。今回IPCCで
-
おなじみ国連のグテーレス事務総長が「もはや地球温暖化(global warming)ではなく地球沸騰(global boiling)だとのたまっている。 “地球沸騰”の時代!?観測史上最高気温の7
-
「インフレ抑止法」成立の米国・脱炭素の現状 8月16日、米国のバイデン大統領は、政権の看板政策である気候変動対策を具体化する「インフレ抑止法」に署名し、同法は成立した。 この政策パッケージは、政権発足当初、気候変動対策に
-
ドイツ連邦軍の複数の退役パイロットが、中国人民解放軍で戦闘機部隊の指導に当たっているというニュースが、6月初めに流れた。シュピーゲル誌とZDF(ドイツの公営テレビ)が共同取材で得た情報だといい、これについてはNATOも中
-
前回お知らせした「非政府エネルギー基本計画」の11項目の提言について、3回にわたって掲載する。まずは第1回目。 (前回:強く豊かな日本のためのエネルギー基本計画案を提言する) なお報告書の正式名称は「エネルギードミナンス
-
混迷と悪あがき ロシアのウクライナ侵攻後、ドイツの過去10年に亘るエネルギー政策「エネルギーヴェンデ(大転換)」が大失敗したことが明々自白になった。大転換の柱は、脱原発と脱石炭(褐炭)である。原発と褐炭を代替するはずだっ
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間
















