火の用心!山火事を気候変動のせいにしてはいけない

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最近、日本では大船渡、大槌町、岡山、今治などで大規模な山火事が相次いだ。メディアでは、これを「気候変動」「温暖化」と結びつけるような見出しが躍った。
東京新聞は、「岩手・大槌だけじゃない、山火事が各地で相次いで 乾燥・高温・強風のコンボで被害拡大…気候変動の影響は」と題して報じた。
毎日新聞も、「大規模な山火事、世界で『同時多発』の恐れ 離れた場所でなぜ?」、「大規模山林火災、世界で多発 極端な気象条件、同時発生リスク」といった記事を掲載している。
日本経済新聞も、「『大山火事時代』到来、温暖化で土や地表乾きやすく 衛星使い警戒」と題する記事を出している。
いかにもCO2による人為的な気候変動で山火事が増えていると言いたげだが、実際のところどうか?
まず確認すべきは、日本の山火事が本当に増えているのか、という点だ。
日本の山火事(林野火災)の年間発生件数は1974年の8,351件をピークに減少傾向にある(政府広報オンライン)。 したがって、統計的を見れば、「日本で山火事が増えている」のではなく、むしろ逆であり、山火事は減少していることが分かる。
減少した理由は何だろうか?
まず山火事の原因であるが、林野庁によれば、原因が明らかな林野火災では、「たき火」が32.5%で最多であり、次いで「火入れ」「放火・放火疑い」「たばこ」となっている。また、林野庁は、日本の林野火災の多くは人間の不注意などによるもので、落雷などの自然現象によるものは稀だとしている(農林水産省 りんや)。
この事情は国によって全く異なる。
拙著『データが語る気候変動問題のホントとウソ』で詳しく書いたけれども、イエローストーンやオーストラリアなどの乾燥した地域では元々、山火事(wild fire)は自然現象の一部だった。落雷などによって発火し、乾燥し高温な気候によって山火事が起きる。そこの植生も山火事に適応したものになった。
対照的に、日本では山火事は人間が主な原因だった。火種の多くは人間が持ち込んだ。それには草原の維持のための意図的な火入れもあったし、たき火やたばこなどの火の不始末もあった。
日本の山火事が長期的に減少した主な理由は、人間が山で火を使う機会が減ったことだ。薪炭利用は衰退し、農作業や草地管理に伴う火入れは減り、林業労働者や山に入る人も減った。加えて、防火啓発が行われ、通報・消防体制も改善した。
有史以来、日本列島で人間は火を使用してきたが、これこそが山火事の主な要因だった。日本は雨が多く乾燥しにくいので、自然起源の山火事は比較的少なかった。
なお、もし近年になって山が燃えやすくなったとすれば、別の有力な人為的な要因がありうる。日本の森林では、森林蓄積が人工林を中心に年々増加している。「山が荒れる」とよく言われるけれども、山の手入れがされなくなり、下草がぼうぼうと生えている山も増えている。こうして山火事を起こす燃料は増えている。
このような山における「燃料」の増加は、前述のイエローストーンやオーストラリアでは重要な山火事増加要因になっている。だが気候が湿潤であるために、日本では顕在化するに至っていない。
前述の新聞記事では、乾燥や強風によって山火事が悪化したとして、それが気候変動に起因するものだと言わんばかりのタイトルで報道している。だが山火事を起こすような乾燥や強風が増加したことを示す長期的な統計的証拠はどこにもない。
ましてそれが人為的な気候変動によるものだとする証拠などもない。
日本の雨量は過去100年以上にわたって数十年規模で大きく変動してはきたものの、一貫した減少傾向などは見られない。
日本の山火事対策に必要なのは、火の用心! まずは失火をしないことだ。次いで、火が燃え広がりにくいように山に防火帯を設けたり、定期的に伐採をしたり、防火体制を整備することだ。
気候変動のせいにするのでは、対策を誤る。
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