ドイツでAfD党大会が成功裡に閉幕:「民主主義」を掲げる大会妨害は失敗

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1万人の機動隊が出動したのだ! AfD(ドイツのための選択肢)の年次党大会をアンティファの攻撃から守るために。
アンティファとは、アンティ・ファシスト(反ファシスト)の略で、極左や無政府主義者の集まりである。日本人の想像を優に超えるほど暴力的なグループだ。彼らが敵視しているのは、警察、資本家、および左派ではないすべての政治家やジャーナリスト、あるいは普通の市民生活を送っている人たちである。
そして、それら「ファシスト」たちを撲滅するためには、暴力も器物損壊もいとわない。送電線や鉄道といった社会インフラに対する無差別テロもためらわず、それどころか、敵と定めた人間に重傷を負わせることさえ正当化できる人たちだ。
一つの系統立った組織ではないが、ヨーロッパ各地の多くのグループが密な連携を取りながら、機会があるごとに抗議デモと称して集結し、例えばG7サミットなどで、黒い覆面姿で内戦のような光景を繰り広げては、市民生活だけでなく、商業活動にも甚大な被害をもたらす。そして、さらに日本人には信じられないことだが、ヨーロッパではそういうことが、ことあるごとに繰り返される。
ちなみに、ドイツでアンティファの犯罪が最高潮に達したのが、2017年にハンブルクで開かれたG20サミットの時だった。ヨーロッパ各地から集結した彼らが、ハンブルク中心部のシャンツェン地区を襲撃。あちこちに火を付けたり、ロケット花火で警官を攻撃したりしただけでなく、一部のグループが要所の家屋の屋上に立てこもった。上から火炎瓶や石で狙い撃ちされた警官は何もできなくなり、重装備の特殊部隊が投入されて、ようやく反撃に転じた。
多くの人が疑問に思っているのは、なぜこのような「抗議デモ」に許可を出すのかということだ。しかも、拘束された乱闘者らは、毎回、翌日にはほとんどが釈放されてしまう。
実は、その答えは簡単だ。社民党、緑の党、左派党といった左派の政治家が、このアンティファに少なからぬシンパシーを持っているからだ。ハンブルクの暴動の後ですら、社民党の政治家は、「警官が挑発したから事態がエスカレートした」とアンティファをかばった。現在のドイツは、警察を毛嫌いしているこういう人たちに治められている。
今回はそのアンティファが、7月4日、5日にエアフルトで開催される予定だったAfD(ドイツのための選択肢)の党大会を、何が何でも妨害するとして、全面攻撃を宣言していた。ドイツのアンティファの第1の敵は、目下のところAfDなのだ。
ただし、公式に認められている政党が定期的に党大会を開催することは、ドイツの政党法と党則に基づく重要な義務である。AfDの今回の党大会では、党幹部や地方議員のほか、投票権を持つ代議員600人、さらに招待客、運営スタッフ、報道陣なども含め、参加者は1000人を超えると予想されていた。
それに対し、労働組合や市民団体、左派NGOなどが連携し、数万人規模の抗議デモを計画した。平和裏に抗議デモを行うことは、言論や集会の自由として認められている。
ただ、彼らの主張はいつものごとく、AfDはナチであり、その台頭を認めればドイツは独裁政治になるというものだ。AfDの政策に反民主主義的な点など見つからないこともあり、今や、AfDとナチとの共通項を探し出すことに重点が置かれている。
ちなみに、7月4日は、100年前の1926年に、ヒトラー率いるナチ党が近隣のワイマールで党大会を開いた日だという。そのため、「これは偶然ではない!」という警告が、SNSで堂々と広められていた。ただ、会場となったメッセの代表が、「AfDから提案された7月の日程の中で、われわれが対応できたのが4日、5日だっただけ」という声明を出し、抗議グループの主張があっけなく覆されるという一幕もあった。
しかし、一方のアンティファはというと、平和的な抗議デモではなく、堂々と党大会の阻止を掲げており、会場への主要道路およびアウトバーンの完全封鎖を宣言していた。もちろん、明らかな違憲行為である。
デモ参加者は約3万人で、そのうち暴力行為に及ぶ可能性の高い人たちが2500人と予想されていた。ここには、ドイツだけでなく、フランス、イギリス、スイスなどから「招待」された「暴力要員」が含まれていた。
さて、エアフルトでは、事前の捜索により、投石用の石の隠し場所が5カ所も発見されたといわれ、警戒度は高まった。テューリンゲン州(エアフルトは同州の州都)の警察は他州にも応援部隊の派遣を依頼し、こうして党大会の前日、エアフルトには放水車まで配備され、州始まって以来の厳戒態勢となっていた。警察の威信にかけても、エアフルトを暴徒の手に渡すわけにはいかなかったのだ。
さて、当日の4日。皆の予想に反して、午前10時、メッセでは予定通り、AfDの党大会がつつがなく開催された。なぜか。
警察とAfDは密に連絡を取り合っていたらしく、党大会の参加者は早朝4時前に、各ホテルから郊外の集合場所に移動した。宿泊先についても、アンティファに特定されないよう、警察の依頼で予約とキャンセルを何度か繰り返したという。
そして、夜も明けやらぬうちに集合場所に到着した党員たちは、そこに用意されていた数台のバスに分乗し、隊列を組んでメッセ会場に向かった。バスの前後にはそれぞれ10台のパトカーが付き、党員たちを万が一のアンティファの襲撃から守ったという。
ある議員のインタビューによれば、「警察の対応は完璧だった」。ただ、会場に近づくにつれて、あまりの厳戒態勢に衝撃を受けたという。「ドイツにこれほどたくさんの警察車両があるとは思わなかった!」と。
当然のことながら、その朝、アンティファは自分たちが寝過ごしてしまったことに気付いたが、すでに遅かった。しかも、自分たちが封鎖するはずだった場所には警察が厳戒態勢を敷いており、手も足も出なかった。
そこで、皆で「ファシストは出ていけ、ナチは出ていけ」とシュプレヒコールを叫びながら練り歩いてはみたものの、暴力要員にとっては物足りなかったのだろう。そこで狙い撃ちにされたのが、警察に守られていない報道陣だった。
その様子を撮影していた『アポロニュース』や『ユンゲ・フライハイト』といった右派メディアのカメラマンなどが、追いかけ回され、引きずり倒されたうえ、頭を蹴られるなどして重軽傷を負った。警官も13人が負傷したという。しかし、公共メディアはそれらにはほとんど触れず、反AfDデモが大々的に盛り上がり、概ね平和に終わったことを強調した。
その平和的な抗議デモはというと、ここには緑の党、社民党、左派党の現職政治家が多く参加していた。最も著名な参加者としては、現在、連邦議会の副議長を務めるゲーリング=エッカート氏(緑の党)がいた。同氏は、この抗議活動を「民主主義の大祭典」と呼んだ。
しかし、AfDは同州でも、いや、ドイツ全体でも、すでに支持率は第1位で、広く国民の支持を受けている。そのAfDを「民主主義を壊す政党」だと決め付け、排除しようとするのが本当に民主主義なのか。単なる野党潰しにすぎないデモに、国会議員までがアンティファと共に参加してよいのか? アンティファとAfDと、いったいどちらが反民主主義的なのか?
民主主義とは野党の排除ではなく、野党があってこそ初めて成り立つものだ。そして、その野党が民意を得たなら、民主主義である以上、与党はその席を譲らなければならない。
いずれにせよ、AfD党大会は無事に2日間の日程を終えた。いつものことだが、2日目にはアンティファはあまり暴れない。なぜなら、暴力要員には貸し切りバスや電車のチケットは配布されるが、宿泊費は支給されないので、たいてい2日目にはいなくなるのが常なのだそうだ。
しかも今回は、最大の目的だった道路封鎖も不発に終わり、その他の場所もあまりの厳戒態勢だったため、皆、さっさと帰ってしまったらしい。誰が彼らに資金を提供しているかは謎だ。
5日の夜には、ジャーナリストを襲撃した事件について尋ねられたアンティファの代表が、「ファシストは、記者証を持っていてもファシストだ」と公言し、左派の政治家からも非難を浴びるという一幕もあった。これまではこういう態度がまかり通っていたことにあぐらをかいていたのだろうが、ドイツの風向きは少しずつ変わっている。
左傾の公共放送である第2放送なども同様で、アンティファの暴走や右派の犠牲者のことは、いつも通りほぼ無視しようとしたが、今回は、この態度を責める声も高くなってきた。極右が加害者の場合は、「100倍も大げさに報道するではないか!」と、そのダブルスタンダードが非難されている。現在、報道にも世論にも少しずつ中立性が戻ってきたように感じられるが、これはひとえにAfDのおかげだといえるだろう。
なお、襲われたジャーナリストのグループは、最後まで撮影をやめておらず、警察は、その映像の分析も含め、重大な傷害事件および強盗事件として捜査を進めている。記者の携帯電話も盗まれたという。
いずれにせよ、いくらアンティファがAfDをたたいてくれる便利な存在だとしても、左派の政治家にしてみれば、これまでのように「これが民主主義の防衛だ」などとは言っていられなくなることは確実だ。民主主義とプロパガンダをごちゃ混ぜにしてはいけない。
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この党大会前夜の緊迫した状態のことは、下記で書いているので、興味のおありの方は、こちらもどうぞ。
ドイツはまた道を誤るのか? AfD党大会妨害の背景にある左派の暴力性、メディアの印象操作、政治家の不見識を憂う
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