今週のアップデート=ロスアトム、水とトリチウム分離に成功(7月19日)

2016年07月19日 20:13

アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクGEPRはサイトを更新しました。

 今週のアップデート

1)水からのトリチウム除去が可能に-ロスアトム

ロシアの原子力企業ロスアトムが、水とトリチウムの分離のための実証実験に6月に成功したと発表しました。ロスアトム広報部に寄稿を依頼したところ、日本語翻訳を提供されました。それを掲載します。福島第一原発では放射性物質を取り除いても、トリチウムが残った水を海に流せなくなっています。この技術が実用化されれば、状況は変わる可能性があります。

2)メタンハイドレート、役立つエネルギー源か?

新エネルギー源のメタンハイドレートに関心が高まっています。しかし、その関心には過剰なものが見られます。まだ埋蔵量の全貌も明らかになっていません。今分かることをまとめてみました。

3)中国の海洋進出による日本のエネルギー供給の危機

中国が南シナ海、東シナ海で海上進出の動きを強めています。それをめぐり、元外交官、元自衛官に先行きの話を聞きました。

 今週のリンク

1)メタンハイドレートは資源ではない

石井吉徳東大名誉教授のブログ。メタンハドレートの資源化調査をかつて行った石井氏の評価です。「質」が悪い」「利権を生みかねない」と指摘しています。全面的に賛成する必要はありませんが、一つの見方として紹介します。

2)メタンハイドレート開発実施検討会

経産省・資源エネルギー庁。経産省が2001年からメタンハイドレートの開発研究を、有識者を集めて行っています。現在、「第3フェーズ」と名付けられた商業化の計画が練られています。

3)福島第1原発「石棺」言及に地元反発、機構打ち消しに走る

産経新聞7月15日。福島事故の対応計画を練る原子力損害賠償・廃炉等支援機構が、東京電力福島第1原発事故の廃炉作業の新たな「戦略プラン」で建屋をコンクリートで覆う「石棺」に言及し、地元の反発を招きました。汚染物質の除去をしないことになるためです。これを考える必要はないし、地元への丁寧な説明が必要です。

4)中東が米国ガス輸入、エネルギー地図再編

英フィナンシャル・タイムズ7月19日記事。シェールガスで大量の生産が始まった米国から産出の中心である中東へガスが輸出されました。エネルギーの流れが変わろうとしています。

5)原油輸送ルート エネルギー供給懸念も

毎日新聞7月17日記事。トルコで16日にクーデタが発生、鎮圧されました。トルコはロシア、中東から欧州へのガス、石油のパイプラインが通過しており、その影響は現時点で出ていないものの注視する必要があるでしょう。

This page as PDF

関連記事

  • 連日、「化石燃料はもうお仕舞いだ、脱炭素だ、これからは太陽光発電と風力発電だ」、という報道に晒されていて、洗脳されかかっている人も多いかもしれない。 けれども実態は全く違う。 NGOであるREN21の報告書に分かり易い図
  • 1月17日付日経朝刊に、日本原子力発電株式会社の東西分社化検討の記事が載っていました。 同社は、日本が原子力発電に乗り出した1950年代に電力各社の出資によって設立されたパイオニア企業で、茨城県東海村と福井県敦賀市に原子力発電所を持っており、他の電力会社に電気を卸しています。
  • 18世紀半ばから始まった産業革命以降、まずは西欧社会から次第に全世界へ、技術革新と社会構造の変革が進行した。最初は石炭、後には石油・天然ガスを含む化石燃料が安く大量に供給され、それが1960年代以降の急速な経済成長を支え
  • CO2排出を2050年までに「ネットゼロ」にするという日本政府の「グリーン成長戦略」には、まったくコストが書いてない。書けないのだ。まともに計算すると、毎年数十兆円のコストがかかり、企業は採算がとれない。それを実施するに
  • 石炭火力に対する逆風がますます強まっている。環境団体はパリ協定の2℃目標を達成するため、石炭関連資産からの資本引き上げを唱道し、世界の石炭資源の88%は使わずに地中に留めておくべきだと主張している。COP24では議長国ポ
  • オーストラリア海洋科学研究所が発表した、グレートバリアリーフのサンゴの被覆面積に関する最新の統計は、グレートバリアリーフの滅亡が間近に迫っているという、60年にわたる欠陥だらけの予測に終止符を打つものだ ピーター・リッド
  • 地球温暖化の「科学は決着」していて「気候は危機にある」という言説が流布されている。それに少しでも疑義を差しはさむと「科学を理解していない」「科学を無視している」と批判されるので、いま多くの人が戦々恐々としている。 だが米
  • 菅首相の所信表明演説の目玉は「2050年までに温室効果ガス排出ゼロ」という目標を宣言したことだろう。これは正確にはカーボンニュートラル、つまり排出されるCO2と森林などに吸収される量の合計をゼロにすることだが、今まで日本

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑