今週のアップデート — 市民の放射能への不安を取り除くために必要なことは何か?(2012年3月19日)
お知らせ
GEPRはNPO国際環境経済研究所(IEEI)と提携します。研究や調査の協力、コンテンツの協力を行っていきます。(告知記事)読者の皆さまのご理解とご協力をよろしくお願いします。
今週のコラム
1)茨城大学理学部の高妻孝光教授は、福島第1原発事故以来、放射線量の測定を各地で行い、市民への講演活動を行っています。その回数は110回。その取り組みに、GEPRは深い敬意を抱きます。
高妻教授に「生活のための放射線講座(上)— 身近にある事実を知る」「生活のための放射線講座(下)—日常生活の被ばく量の計測、分析で必要なこと」の原稿2本を寄稿いただきました。高妻教授は自らの経験から、リスクコミュニケーションで、「共に考える」ことが重要であると指摘しています。
2)1986年に起こった旧ソ連のチェルノブイリ事故によって、放射性物質がヨーロッパ中に広がりました。GEPR編集部は「食品の放射能汚染対策では 情報公開と生産での配慮が重要=書籍「スウェーデンは放射能汚染からどう社会を守っているのか」から」を紹介します。
スウェーデン政府の報告書が日本語に翻訳されており、その本のポイントを述べたものです。同書は対策でコミュニケーションが重要であること、また対策ではコストと効果のバランスが必要であることを指摘しています。
今週のリポート
1) 文部科学省は3月13日、福島原発事故における東日本の最新の汚染情報を公開しています。
「東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故に伴い放出された放射性物質の分布状況等に関する調査研究結果について」
土壌などの汚染状況についてのデータを示しています。農業を行う場合に、参考になる情報です。
2)文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会は3月16日、福島原発事故の賠償指針を改訂しました。
「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針第二次追補(政府による避難区域等の見直し等に係る損害について)」
今年1月以降の賠償を定めるものです。「自主的に避難した人には賠償額を1人8万円」など、これまでは一律に賠償額を決めていました。今回の指針では、請求を受けた東電が住民の個別事情に応じて賠償額を決め、不服であれば「原子力損害賠償紛争解決センター」による調停が行われることになります。
しかし、被害住民の手間がかかることが懸念されます。また東電が債務超過の可能性が高まっているために、これ以上の賠償の増加は国民負担の増加が予想されます。
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