今週のアップデート - 放射能への過度な恐怖は社会を壊す(2015年4月13日)
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクGEPRはサイトを更新しました。福島原発事故で放射能を危険視する情報は減り、議論は落ち着き始めています。それをテーマにした論考を集めました。
今週のアップデート
1) 放射線科学会議SAMRAI2014報告 福島県の放射線は健康リスクなし(上)
2) 放射線科学会議SAMRAI2014報告 福島県の放射線は健康リスクなし(下)
高田純札幌医科大学教授に、コーディネーターとなった放射線の科学会議について、報告・解説をいただきました。福島にリスクはなく、生活の正常化を求めることで内外の科学者は一致しています。
宮健三日本保全学会会長の寄稿です。自らの研究者としての経験を振り返りながら、感覚的に技術を語る小泉元総理の発想の危うさを指摘。彼への賛美は混乱を広げかねないと警告しています。
GEPRの編集者である石井孝明の寄稿です。紹介した科学会議の取材を紹介しながら、福島の放射線対策をめぐる混乱の無意味さを、残念がっています。
池田信夫アゴラ研究所所長の映像コラム。「「法律なき法の力」による日本原電への死刑宣告」を題材にして、日本原電の敦賀2号機に活断層があると認定した原子力規制委員会の行動を批判しています。法律がない行政活動には危険があるとの指摘です。
今週のリンク
池田信夫氏のコラムです。ニューズウィーク日本版、4月9日掲載。池田氏の指摘通り、エネルギーはコストと環境汚染やリスクとのトレードオフで考えるべきです。ところが現実には、非現実的な再エネ、省エネ見通しが語られています。そして原発ゼロの再稼動の遅れが、延々と続きそうです。今の状況で2030年のエネルギーを語るのは無意味でしょう。
矢野経済研究所。4月7日公表リポート。CO2の回収(CCS)などが広がり、2015年のCCSUの世界規模は33Mt-CO2/年ですが、これが2030年には1040Mt-CO2/年、2050年には4590Mt-CO2/年に拡大すると予想しています。この分野は大幅な成長が見込めるでしょう。
放射線防護情報センター。今回寄稿した高田純氏がコーディネートした科学会議の報告の詳細版です。出席者の提供した資料などが掲載されています。
4)「3.11」の教訓を風化させるな–時代遅れの原子力・石炭依存、再エネ・ガスは「残り物」扱い
日経ビジネス、4月10日記事。再エネ推進派の論客、山家公雄さんの論考です。議論の進む政府のエネルギーミックスは、時代の変化を先取りしていないと、かなり手厳しい批判を繰り広げています。
池田信夫氏のアゴラの4 月11日掲載コラムです。作家の村上春樹さんが、放射能をめぐる恐怖を強調していますが、内容は誤りが多いものです。人々の善意が、過剰対策を生んで人々を苦しめています。この側面に気をつけなければなりません。

関連記事
-
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
-
オックスフォード大学名誉教授のウェイド・アリソン氏らでつくる「放射線についての公的な理解を促進する科学者グループ」の小論を、アリソン氏から提供いただきました。
-
福島原発事故の結果、現時点でも約16万人が避難しました。そして約650人の方が亡くなりました。自殺、精神的なダメージによって災害死として認定されています。
-
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクであるGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
-
「原発、国民的合意を作れるか? — 学生シンポジウムから見たエネルギーの可能性」を GEPR編集部は提供します。日本エネルギー会議が主催した大学生によるシンポジウムの報告です。
-
GEPRを運営するアゴラ研究所は、エネルギーシンポジウムを11月26、27日の両日に渡って開催します。山積する課題を、第一線の専門家を集めて語り合います。詳細は以下の告知記事をご覧ください。ご視聴をよろしくお願いします。
-
発送電分離、地域独占を柱とする電力システム改革の見直しが検討されています。6月の国会では、審議未了によって廃案になりましたが、安倍内閣は再提出の意向です。しかし、実施によって、メリットはあるのでしょうか。
-
13年1月記事。米国の電力自由化と、復旧の遅れの問題を取り上げている。日本のエネルギー産業も、システム改革・自由化の中でこの問題に直面するかもしれない。
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間