米国23州がSBTiに対して独禁法違反の調査を開始

Zhanna Hapanovich/iStock
先日、フロリダ州がCDPとSBTiを気候カルテルに指定し調査を開始した件を紹介しました。
ジェームズ・ウスマイヤー司法長官は本日、CDP(旧カーボンディスクロージャープロジェクト)と科学的根拠に基づく目標イニシアチブ(SBTi)が、環境の透明性を装って企業に機密データの開示とアクセス料金の支払いを強要することで、州の消費者保護法または独占禁止法に違反したかどうかを調査するための召喚状を発行したと発表した。
「過激な気候活動家はコーポレートガバナンスを乗っ取り、自由市場に対して武器化した」とジェームズ・ウスマイヤー司法長官は述べた。「フロリダ州は、国際的な圧力団体が米国企業を揺るがしてESG詐欺に資金を提供するのを黙ってはいないだろう。私たちは、気候カルテルが企業を搾取し、消費者を誤解させるのを阻止するために、法律のあらゆる手段を使用する。」
また、筆者の個人ブログで今後他のレッドステートへ波及する可能性があるとも指摘しましたが、早速アイオワ州および22州が続きました。
相変わらず日本語メディアでは報じられませんが、CDPに2,000社、SBTiに1,500社も参加している日本の産業界は注視すべき内容が盛りだくさんです。
SBTiに参加している1,500社の皆さん、以下を読んでこのまま続けるべきかよく考えた方がよいと思います。組織としてのSBTiだけでなく、SBT基準に従う企業も独禁法に違反する可能性がある、その背後にある「善意」は無関係だ、とアイオワ州の司法長官から指摘されていますよ。
アイオワ州司法長官が、ネットゼロ炭素排出基準の合法性を問う書簡を主導
Iowa AG leads letter questioning legality of net-zero carbon emissions standard
(文中の太字は筆者)
バード氏はまた、SBTiとその基準に従うことを約束した企業は、州の消費者保護法と連邦および州の独占禁止法に違反する可能性があり、
(中略)
「一部の経済協定は不公平であったり、競争に不当に有害であったりするため違法となる。その背後にある『善意』は無関係だ」とバード氏は書いている。
この書簡には、アラバマ州、アラスカ州、アーカンソー州、フロリダ州、ジョージア州、アイダホ州、インディアナ州、カンザス州、ルイジアナ州、ミシシッピ州、ミズーリ州、モンタナ州、ネブラスカ州、ノースダコタ州、オクラホマ州、サウスカロライナ州、サウスダコタ州、テネシー州、テキサス州、バージニア州、ウェストバージニア州、ワイオミング州の22州の司法長官が共同署名した。
(中略)
SBTiのプログラムは商品やサービスの生産量を制限しており、こうした非現実的なネットゼロ計画はアメリカの農業と産業の両方に悪影響を及ぼしている。ネットゼロを目標にすることは、アメリカ国民に積極的に悪影響を及ぼし、エネルギー自立を脅かし、安全で健康的、栄養価の高い食品のコストを上昇させる。
(中略)
「フロリダ州は、国際的な圧力団体がアメリカ企業を脅迫し、ESG詐欺に資金を提供しようとしているのを黙って見ているつもりはない。私たちは、気候カルテルが企業を搾取し、消費者を欺くのを阻止するために、あらゆる法的手段を講じている。」
■

関連記事
-
ESGは資本主義を「より良いものにする」という触れ込みであるが、本当だろうか。 米国ではESGに対して保守陣営からの反発が多く出ている。その1つとして、RealClearFoundation Rupert Darwall
-
「再エネ発電の一部で規律に課題、停電に至ったケースも」と電気新聞が報じている: 送配電網協議会は6日、経済産業省などが開いた再生可能エネルギーの事業規律を強化するための有識者会合で、一部再エネ発電事業者の運用や工事面の問
-
(前回:再生可能エネルギーの出力制御はなぜ必要か②) 送電線を増強すれば再生可能エネルギーを拡大できるのか 「同時同量」という言葉は一般にも定着していると思うが、これはコンマ何秒から年単位までのあらゆる時間軸で発電量と需
-
政府のグリーン成長戦略では、2050年までに二酸化炭素(CO2)の排出を実質ゼロにすることになっています。その中で再生可能エネルギーと並んで重要な役割を果たすのが水素です。水素は宇宙で一番たくさんある物質ですから、これが
-
12月にドバイで開催されたCOP28はパリ協定発効後、最初のグローバル・ストックテイクが行われる「節目のCOP」であった。 グローバル・ストックテイクは、パリ協定の目標達成に向けた世界全体での実施状況をレビューし、目標達
-
2018年4月全般にわたって、種子島では太陽光発電および風力発電の出力抑制が実施された。今回の自然変動電源の出力抑制は、離島という閉ざされた環境で、自然変動電源の規模に対して調整力が乏しいゆえに実施されたものであるが、本
-
日本の電力系統の特徴にまず挙げられるのは、欧州の国際連系が「メッシュ状」であるのに対し、北海道から 九州の電力系統があたかも団子をくし刺ししたように見える「くし形」に連系していることである。
-
7月1日からスーパーやコンビニのレジ袋が有料化されたが、これは世界の流れに逆行している。プラスチックのレジ袋を禁止していたアメリカのカリフォルニア州は、4月からレジ袋を解禁した。「マイバッグ」を使い回すと、ウイルスに感染
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間