メガソーラーの環境破壊を数字で確認

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太陽光発電は、温暖化対策として導入が進められてきた。だが、発電時にはCO2を出さないけれども、設備をつくる段階ではCO2が出る。メガソーラー建設のために森林や湿原を破壊すれば、そこに蓄えられていた炭素がCO2となって放出される。さらには、生態系の保全などの「生態系サービス」ないしは「多面的機能」も失われる。
筆者は、メガソーラーを湿原と森林に建設する場合において、CO2排出量のライフサイクル分析と、「多面的機能」および「生態系サービス」の喪失による社会的費用の評価を行った。ここでは主な計算結果だけを紹介しよう。詳しい内容は文末のワーキングペーパーを参照されたい。

表1 基本的な前提条件(主計算)
主な前提は表1の通りである。メガソーラーの土地利用密度は2.5ha/MW、すなわち1haあたり0.40MWとした。設備利用率は政府資料に基づき18.3%、過積載率は130%とした。メガソーラーの発電コストおよび系統電力の排出係数は政府資料による数値を用いた。
まずCO2である。太陽光設備の製造に伴う排出は、1MWあたり2,845トンCO2である。これは中国における石炭火力を利用した製造工程を前提としているので大きい値となっている。
森林を伐採する場合、立木、土壌、および枯死有機物に蓄えられた炭素が全量放出されると、さらに1,313トンCO2が加わる。合計すると、森林でのメガソーラー建設に伴う排出量は4,158トンCO2となる。
湿原ではこれがさらに大きくなる。湿原に蓄積された泥炭炭素が全量放出されると、1MWあたり4,638〜8,358トンCO2となる。これに太陽光設備製造時の排出を加えると、メガソーラー建設に伴う排出量は7,483〜1万1,203トンCO2となる。

このメガソーラー建設に伴う排出を、太陽光発電によるCO2削減によって取り返すのに何年かかるかという「CO2回収年数」を計算したのが図2である。政府計画における2030年の電力排出係数を用いると、森林では11年、湿原では19〜29年となった。

次に社会的費用である。林野庁資料によると、森林生態系サービスの価値は280.8万円/ha/年となる。これをha当たりの発電量で割ると、森林喪失の外部費用は4.38円/kWhである。湿原については、環境省による湿原の生態系サービスの評価は661.8万円/ha/年となっている。これをha当たりの発電量で割ると、外部費用は10.32円/kWhとなる。
メガソーラーの発電コストを10.9円/kWhとすると、森林への立地では外部費用を加えた社会的発電コストは15.3円/kWh、湿原立地では21.2円/kWhとなる。
このように、社会全体で負担する外部コストを加えると、メガソーラーのコストは4割増ないしは倍増することになりうる。

このように、湿原や森林を破壊してメガソーラーを建設する場合、それがそもそもどの程度のCO2削減になっているのかも疑わしい上に、生態系破壊によるコストは発電コストそのものに匹敵する規模になりうる。
政府および事業者は、政策および事業を実施するのに先立って、CO2削減の効果と生態系破壊の影響について詳細に分析・公表し、それが環境対策の名の下に実施する価値があるかどうか、公衆の判断を仰ぐべきではなかろうか。
【参考リンク】
- 杉山大志(2026)「メガソーラーによる湿原損失の費用評価」 CIGS Working Paper Series No. 26-006J、初版2026年5月29日、改訂2026年6月29日。
- 杉山大志(2026)「メガソーラーによる森林損失の費用評価」 CIGS Working Paper Series No. 26-009J、初版2026年6月23日、改訂2026年6月29日。
- 杉山大志(2026)「メガソーラーによる湿原損失のライフサイクルCO2分析」 CIGS Working Paper Series No. 26-0010J、初版2026年6月15日、改訂2026年6月29日。
- 杉山大志(2026)「メガソーラーによる森林損失のライフサイクルCO2分析」 CIGS Working Paper Series No. 26-0011J、初版2026年6月15日、改訂2026年6月29日。
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