国境炭素税開始でEU域内の農家が悲鳴を上げる

Zbynek Pospisil/iStock
EUは今月から炭素国境調整メカニズム(CBAM)を開始しました。セメント、アルミニウム、肥料、鉄鋼、水素、電力について対象となる輸入の場合はCBAM証書が必要になるとのことです。ただし条件がかなり緩和され、各品目の上位10%程度が対象となると言われているため、日本企業への影響はまだよく分かりません。
このCBAMは関税措置であるため各国が反発しており、昨年11月のCOP30でも世界中から袋叩きにあっていました。
欧州CBAM、COP30で総スカン:日本版CBAMなど土台無理ゲー
そして、EU域内のイタリア、フランスからも肥料についてCBAMの停止を求める声が上がっているそうです。
Italy and France seek exemption on fertilisers from EU’s carbon border tax
イタリアとフランス、EUの炭素国境税から肥料の免除を求める
2026年1月7日
フランスとイタリアは、欧州委員会に対し、1月1日に発効したEU域内CBAMから輸入肥料の炭素関税を免除するよう要請している。両国は、この措置が欧州の農家にとって競争力を維持するのに役立つと主張している。
ユーロニュースが入手した2つの文書によると、フランスとイタリアは欧州委員会に対し、EU域内に輸入される製品が引き起こす汚染に対してEU輸入業者に支払いを義務付けるEU域内炭素国境調整税から肥料を免除するよう要請している。
仏伊当局は、EUへの輸入肥料コストが「大幅に上昇」する懸念を示しており、フランス側は新税制により価格が約25%上昇すると試算している。
ユーロニュースが入手したフランス政府の書簡には「この延期は作物栽培部門の緊張を緩和し、経済主体が2026年作期に向けて満足のいく肥料供給条件を回復する時間を与えるだろう」と記されている。
「市場の憂慮すべき状況は、肥料に対するCBAMの影響に関する停止条項を可能な限り早期に発動すべきことを示唆している」と、農業担当委員クリストフ・ハンセン宛てのイタリア政府書簡には記されている。
ブリュッセルに本拠を置く業界団体「ファーティライザーズ・ヨーロッパ」は、CBAMに基づく財政メカニズムの発効がEU域内の肥料混合業者および輸入業者に「高い財政的不確実性」をもたらし、さらなる肥料発注を妨げると指摘した。
「EUの肥料供給量の50%が第三国からの調達に依存し、現在の在庫は来年度需要の約60%しか賄えない状況下で、この不確実性は肥料貿易と欧州農家への肥料供給継続性を脅かしている」と欧州肥料工業会(Fertilisers Europe)は声明で述べた。
肥料に関税がかかると価格が高騰してEU域内の農家の皆さんが悲鳴を上げるそうなのです。たしかに。セメントやアルミを買う企業は大丈夫なのでしょうか。
他方、EUは2028年以降に自動車部品や洗濯機など対象品目を拡大するとも報じられています。これ、域内の一般消費者にも農家さんと同じことが起きやしないでしょうか。
世界中から非難され、域内からも免除を求められ、EUのエリート層っていったい…
■
関連記事
-
原子力発電に関する議論が続いています。読者の皆さまが、原子力問題を考えるための材料を紹介します。
-
中国の研究グループの発表によると、約8000年から5000年前までは、北京付近は暖かかった。 推計によると、1月の平均気温は現在より7.7℃も高く、年平均気温も3.5℃も高かった。 分析されたのは白洋淀(Baiyangd
-
ホルムズ海峡封鎖で燃料コストは上昇するのか? 米軍によるイラン攻撃に反発し、イラン軍がホルムズ海峡を封鎖した。これを受け、日本のマスコミは一斉に「原油やLNG(液化天然ガス)の価格が高騰し、電気代・ガス代が上昇する」と報
-
3月初めにEUの環境政策関係者に激震が走った。 「欧州グリーンディール」政策の一環として2021年7月にEUが発表した、2030年までに温室効果ガスの排出を90年比55%削減するという極めて野心的な目標をかかげた「FIT
-
政府は「2050年カーボンニュートラル」という方針を決めました。これは「2050年までに温室効果ガス(特にCO2)の排出を実質ゼロにする」という意味で、そのために2030年までに46%減らすことになっています。これは地球
-
はじめに 近年、日本社会では「カーボンニュートラル」「脱炭素」といった言葉が政治や産業、さらには教育現場にまで浸透し、あたかもCO₂削減こそが唯一の解決策であるかのように語られています。電力システム改革や再生可能エネルギ
-
福島第一原子力発電所の事故に伴う放射性物質の流出により、食品の放射能汚染がにわかにクローズアップされている。事故から10日あまりたった3月23日に、東京都葛飾区にある金町浄水場で1kgあたり210ベクレルの放射性ヨウ素が検出されたことが公になるや、首都圏のスーパーマーケットに置いてあったミネラルウォーターがあっという間に売り切れる事態に発展した。
-
アゴラチャンネルにて池田信夫のVlog、『地球温暖化はあと2℃以内』を公開しました。 ☆★☆★ You Tube「アゴラチャンネル」のチャンネル登録をお願いします。 チャンネル登録すると、最新のアゴラチャンネルの投稿をい
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間















